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俺は3人に見送られて、ゆっくり話が出来そうなところまで歩く。
歩きながら空を見上げた。
真っ暗な空からは、真っ白な雪が降っていて、雪と雪の間から、輝く星が見えている。
人気のない公園のベンチに腰掛け、ポケットから携帯電話を取り出す。
冷たい風にマフラーが揺れる。
ふぅ、と息を一つ吐いて、携帯電話を握りしめた。
空は相変わらず真っ暗だけど、雪と星が綺麗だ…。
手袋もしてない手を、空に向けて伸ばす。
星には全然届くわけないのに。
伸ばした手だけが、寒さで震える。
冷たくなる指先。
降り続く雪が一つ、俺の頬に触れた。
羽のような雪は、ゆっくりと、ゆっくりと溶けて、一筋の涙のように頬を伝う。
泣きたくなるような空って、きっとこんな空のことを言うんだろう。
麗の顔が見たい…。
そう思ったら、さっきまでの臆病な自分が嘘みたいに、震える指先で携帯電話のボタンを押していた。
コールはたったの1回。
麗はすぐ出てくれた。
「麗…久しぶり。元気??」
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