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演習場の切り立った岩場には張り詰めた空気が流れていた。
11番隊が身を隠してもうすぐ10分。
刻々と開始時間が迫っていた。
銃に装填された訓練用の着色弾。
それを新人が確認していると、コックピットに浮かび上がった時計が0を告げ、消えた。
演習開始だ。
エストレアは機体を操り岩場の上へ、索敵を兼ねた陽動だ。
「中佐、良い布陣を敷いたな」
ルナの敷いた陣は左右広範囲に展開し、その左右の機体を先行させ、小部隊の11番隊を取り囲んでいく物だとエストレアは予想した。
「エストレア機から各機へ、敵は左右広範囲の陣を組んだ、俺達を囲むつもりらしい、それだけだ、後は何時も通りで良い――」
エストレアがそういうと眼下の敵機がエストレアを見つけたか、銃を向け、着色弾を放った。
直撃コースだ。
「やった! コレなら――」
しかしエストレアの機体に着色弾の鮮やかな赤色の塗料が付着する事はなかった。
弾丸はエストレアの機体に剣で縦に裂かれ、エストレアの機体の後ろで破裂、塗料をぶちまけたのだ。
「なっ! まじかよ!」
弾丸を切り裂かれたのに驚きはしたものの、迎撃されぬよう、岩場に身を隠す魔導士。
その姿を見てエストレアは笑みを浮かべ、後ろに飛んで岩場から飛び降り、姿を隠した。
「さあ始めようか」
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