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9番隊の新人エリクは初めての演習に緊張を隠しきれないでいた。
訓練で教わった通り、岩場を背に敵の襲撃に備えていた。
いつ飛び出てくるとも分からない敵機の姿、その敵の攻撃への対処を頭の中で何度となくエリクは思い描く。
「イメージは出来てるんだ、僕にだってやれるさ」
「初めての演習なんだ、11番隊の胸を借りるつもりでいきな」
「は、はい」
ペアを組む上官の言葉に頷き、返事を返すエリク。
「良し、次のポイントに移動するぞ」
「了解」
上官の魔導機が移動を開始。
エリクの前を通り過ぎ、岩場から姿を消した上官。
その後に続くためにエリクが魔導機を立ち上がらせた瞬間、再びエリクの前に上官の魔導機が姿を表す。
「なっ――」
しかし上官の魔導機はエリクの足元に倒れた。
付着した赤い塗装。
遅れて聞こえてきた銃声。
状況から、遠方から狙撃された事が理解できた。
「あなたもゲームオーバーよ?」
「え?」
聞き慣れない女性の声にエリクは振り向く。
だが、その瞬間エリクの魔導機のコックピットのモニターは赤く染められる事になった。
「流石ねぇ、アルゥ」
『お前もな』
頭部が赤く染まったエリクの魔導機の傍らに、銃を装備したレイカの駆る紅いウルスラグナが佇んでいた。
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