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ティエラが9番隊の魔導機を倒し、合流ポイントへと向かっている頃。
大型の槍と盾を携えたセティの機体も、9番隊の魔導機を追い詰めていた。
「くっ、まるで城壁だな」
見るからに接近戦主体のセティの機体。
それから離れ、9番隊の魔導士は銃を放つも、体のほとんどが盾に覆われた機体には有効な一撃にならない。
そんな時、セティの機体にティエラの声が響いた。
『セティ、まだやってんの?』
「あら、先越されたわね」
『フェルドももう来てるよ?』
「分かったわ、直ぐ終わらせる」
『じゃ、後でねぇ』
ティエラの報告で、3機を追った中で自分が最後。
その事に焦った訳では無い。
‘直ぐ終わらせる’自分の発言をセティは実行に移す。
盾は構えたまま槍を突き出し、9番隊の機体目掛け突進する。
迫る城壁に9番隊の機体が銃を放ちながら後退していく。
しかし、それも直ぐに終わる。
岩が9番隊の機体の行くてを阻んだのだ。
「しまった!」
このままでは確実に負ける。
そこで9番隊の魔導士が考えついたのは、ギリギリまで引きつけ、跳んで回避し、迫る槍を岩に咬ませるという、単純だが効果的な作戦だった。
そして、次の瞬間にはその作戦は実行される事になる。
「今!」
迫る槍の切っ先。
タイミングを合わせ、9番隊の魔導士は機体の膝を曲げ、跳躍の体勢に入った。
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