17人が本棚に入れています
本棚に追加
「私の槍からは逃げられない」
セティは言葉と同時に、コックピットの魔鉱石に魔力を込めた。
更に加速する機体、今にも跳ばんとする敵機。
「なんだ? 槍が」
そんな敵機、9番隊の魔導士からはセティの槍がどのように見えたのだろう。
機体にブレーキを掛ける為に踏み出した右足が大地を削る。
半身を捻るように右手の槍を突き出すセティ。
その槍の先端に亀裂が入った。
槍が半分位の長さから展開したのだ。
手。
9番隊の魔導士にはそう見えたに違いない。
4つに別れた槍の矛先が、9番隊の魔導機の後ろの岩を穿った。
タイミングを逃した魔導士に回避は間に合わず。肩越しに2本、脇に2本。
まるで磔刑の様に。
‘槍’に捕まった。
逃げる事は出来ない。
口を開いた槍の中に銃口を見たからだった。
「実戦なら消し炭ね」
魔鉱石に魔力を込めるセティの表情は冷たかった。
最初のコメントを投稿しよう!