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「離れねぇな」
アルギスは狙撃用ライフルのスコープ越しに、引き金を引くタイミングを伺っていた。
しかし、レイカに接近戦を挑む機体。
入れ替わり立ち替わりが激しく、とてもでは無いが、アルギスには引き金を引く事が出来なかった。
レイカに当たる可能性が有るからだ。
「くっ、この!」
そのレイカが、敵機から離れようと後ろに跳びつつ着色弾を放った。
だが9番隊の魔導機は、その弾丸を屈む事で避け、更にその体勢からレイカの方へと跳ぶ。
剣を突き出し、刺突の構えでレイカに飛びかかる9番隊の魔導機。
「ヤバっ」
とっさに盾を構えるレイカ。
コックピットへの直撃はなんとか防いだものの、まともに刺突を受けた為、魔鉱石で出来た盾は脆くも破壊される。
「とんでもないわねアンタ。
名前は?」
対峙する2機、レイカが口を開いた。
目的は2つ、アルギスの狙撃の援護と増援到着の為の時間稼ぎ。
『……アルディ・シェップファー……』
9番隊の機体から送られてきた声は、まだあどけなさが残る少年の声。
しかし、レイカが驚いたのはその声よりも、その魔導士の名前だった。
「シェップファー。
……あの軍人家系の……なるほどねぇ」
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