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☆ ☆ ☆
「ねえねえ、本当にどこ行くんだよ? お金ももうあんまりないよ?」
きみは、更にどんどん進むわたしの足にまゆ毛をハの字にした。手にはあったかいミルクセーキを持っている。
わたし達は、まだまだ子供。
わたしは、プルタブを倒してしたつづみすると、あと、ちょっとだけだから、とごねて見せた。
それに、きみと、もう少しで二十四時間一緒に居た事になるんだよ? わかっているのかなあ? きっと、わかんないだろうな。ふとそんな事も訊きたくなったけれど、それは、止めた。絶対に言わない。けれど、やっぱり二人は嬉しいね。一人なんかじゃ飛べないから。
気付けばアーケードも抜けて、民家の立ち並ぶ手狭な道路に差し掛かって、わたしはその先に丘のような何かを視認した。
よし、きっとあそこがわたし達の終着点、わたしは指を指して、「あそこまで、うん、あそこまで」と繰り返す。
「なんだろう、あそこ」って言われても、もちろんわたしにはわからない。
「ああ、かあさん心配してるかなあ」って言われても、お母さんの事、今だけは忘れたい。
元はと言えば、浅はかな、家出。きっと小さな街だから、今頃大変な事になっているだろう。
ごめんね? わたしは心の中で、そっときみに零した。巻き込んじゃった。けれど、誰でも良かった訳じゃない。きみだから、居てもらいたいと思ったんだよ? さっきからきみはツルツル滑って、その度に肩は触れて、わたしの心はずっと震えてる。刹那の幸せが断続的で、まるで、また先程から降り出した雪のようだと思った。
きみは、鼻水をすすって、けれど、文句も何も言わずにわたしの後ろ半歩弱をついてくる。風邪を引かせてしまったなら、悪いことをしちゃった。けれど、不謹慎、もこもこの先の学生服は、黒に白が映えるの。わたしも、真っ白を願いたい。雪的で、もう少し、透明な何か。
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