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「え、なんか言った?」ときみが訊くから、わたしは「……結婚して?」とごまかした。
「うん、そのつもり」ときみが言うから、わたしは「ほんと?」と聞き返した。びっくりした。
「ただ、あと四年あるね……」、きみは迷ったように、「待っててくれる?」、わたしは迷わず「待てないよ?」
きみは困って、恥ずかしそうに目を細めた。その間隙に、飛び込んだ。衝動と言えば、それまで。温もりを得たいがための口付けは、さながらスタッカートの調べ。
きみは、真っ赤に染まって、「……うわあ、ずるい。第一、男からそういうのってするんじゃないの?」と言う。
けれど、「違うよ」断言出来た。
「うーん、そういうもの?」と言って頭を悩ませるきみだけれど、表情は意外にも晴れやか。
お日様みたい。
照らして。
「この先も、わたしがするの。ずっと。……されたキスは、ノーカウント」と一人零して、わたしは、未だにクレタ島の半獣人(ミノタウロス)。
――けれど、とわたしは思った。きみが居れば、きっと。……きっと!――
それにしたって、「じゃあ、僕はどうすれば?」は中々上手な質問、わたしは答えず頬擦り寄せた。
けれど、失態。わたしだって抜けてる。子供なのを忘れていた。きみは我慢できなかったのか、早速してきて、流石に身構えて、けれど、何故か嬉しくて。すぐさま理由に気が付いた。零と一は、もう知らない。必要なのは、二、だけだった。そのままわたしはくっつけて、気付けばつむって永久(とわ)を願った。
平成二十一年。十二月十四日。
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