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「ここは・・・?」
マルクはゆっくりと目を覚まし、今自分がいる空間を見渡した。
虹色の歪んだ球体の中にただ一人立ち尽くしている。
「俺は寝てたはず・・・」
ポツリと小さな声で呟き辺りを見回した。
しかし、何も無い。
マルクが考えていると空間に声が響いてきた。
「ここはお前の夢の中だ」
声はとても穏やかで、水のように透き通った声をしていた。
マルクは突如として響いてきた声にピクリと小さく肩を跳ねさせて声に問いかけた。
「夢・・・?ってより、誰なんだ?」
すると声はしばらく黙り込む。
すると沈黙が破られた。
「私はファリウス。光の神だ。」
マルクは声の主が光の神だと名乗ったので目を見開いて後ずさり、硬直してしまう。
「あまり時間が無い。手短に済ませるぞ。こうしてお前に接触したのは他でもない。お前の元にアデルが向かっている。」
マルクはアデルという言葉を聞けば軽く唇を噛みしめ、少しの間黙っていたが口を開いた。
「何で今になって・・・」
「アデルはお前が成長するのを待っていた。あの惨劇以来な。」
マルクは声の主の言ったことを聞いて俯いてしまう。
声の主はすかさず付け足した。
「今は過去を振り返っている暇は無い。今すぐ逃げるんだ。」
声の主の言葉に我に帰り、アデルが本当に近くに迫っているのを悟った。
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