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「あああぁぁぁ―――!!」
見つけた財布を持ち上げつつ、勢いよく立ち上がり、そんな風に叫んだ。
1度に3つのことができるなんて、なかなか器用な人です。
冗談はさておき、彼はやっぱり、植木さんへと電話をかけました。
「もしもし、植木か?」
『そうだけど。どうかした?』
「お前、財布忘れてるぞ」
『……え? あ! 本当だ!』
「まったく……。俺が届けてやるよ。駅前で待ち合わせでいいか?」
『そんなの悪いよ~。私が取りに戻れば済む話だし』
「気にするな。駅前で待ち合わせ。いいな!」
ピッ。
彼は、荷物――紙袋も――全てを持って走りだした。
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