ハートの9

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「あああぁぁぁ―――!!」 見つけた財布を持ち上げつつ、勢いよく立ち上がり、そんな風に叫んだ。 1度に3つのことができるなんて、なかなか器用な人です。 冗談はさておき、彼はやっぱり、植木さんへと電話をかけました。 「もしもし、植木か?」 『そうだけど。どうかした?』 「お前、財布忘れてるぞ」 『……え? あ! 本当だ!』 「まったく……。俺が届けてやるよ。駅前で待ち合わせでいいか?」 『そんなの悪いよ~。私が取りに戻れば済む話だし』 「気にするな。駅前で待ち合わせ。いいな!」 ピッ。 彼は、荷物――紙袋も――全てを持って走りだした。
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