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中学を卒業して、悲しくも別れを告げて早2年。
中学から親友の"坂塚 琴"と晴れて同じ学校、そして2年連続同じクラスになった。
琴「捺恵~帰んないの?」
『帰るよ~待って!』
琴の声に焦りながら、鞄に"大宮 捺恵"と書かれた自分の教科書などを詰める。
「お前、高校にもなって彼氏無しなんて悲しい奴ら~」
『煩い!!枝崎のくせに!!』
そう言って来たこいつも何故か同じ中学出身の枝崎 隆哉である。
『枝崎うざい』
こいつとは残念ながら家が近いわけで、幼稚園からの付き合い。俗に言う…"幼なじみ"である。
隆「煩ぇよ~」
『こっちの台詞!』
枝崎にべぇ~と舌を出して、馬鹿にする。
隆「ガキ」
『うざっ!』
隆「そんなんだから、いつまでも独り身なんだよ」
『何だと!?』
隆「じゃあな、独り身」
『~っ、うるさい!』
枝崎が帰ったが、未だに苛々している。
琴「まぁまぁ、馬鹿なんて相手にしちゃ駄目だよ」
ちょっと大人の琴に宥められ、落ち着いた。
琴「ほら、帰るよ」
琴に言われて、寒い廊下へと2人は31人分の机のある教室から出ていった。
『ヘックュン!…ズズッ』
琴「捺恵、風邪?」
『ん~わかんない…ズッ…でも、最近寒くなってきたよね~…』
冷たい風がより強く吹き、鼻が痛くなる。
琴「冬、本番だね~」
『だよね~…ヘッ…あ、止まった』
空は四時にも関わらず、もう太陽は沈み始めている。
最近は日が沈むのがとても早い。そのせいでなのか、余計寒さが身にしみる。
琴「あ、そうだ!」
急に声を上げた琴に思わず首を傾げた。
琴「今日少しだけ、買い物付き合ってくれる?」
『あ、いいよ!』
快く頷けば、近くの駅ビルへと入っていった。
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