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彼は私と同じぐらいの時期に転入してきた人。
全てを見透かしているような瞳にドキッとさせられる…。
恋をしたことがないから断言はできないが、恋とはまた違う苦しさを覚える。
つい目をそらしてしまう。
思い過ごしかもしれないけれど、空が重い日はいつも視線を感じる。
──ポツポツポツ…ザァァァ…
あーぁ、降ってきちゃった…。
黒く重い空からは案の定、大粒の雨が降り、雷が鳴り始めた。
──パシャパシャ…
もう…びしょびしょ…。
帰ったら着替えなきゃ。
──ピカッ…ゴロゴロ…
「きゃっ…」
怖い…。
身体の奥から震え上がってしまいそうなほど。
こんな天気のときは外に出てはいけない…そんな気がする。
とは言え、学校帰りなのだから仕方ない。
──ピカッ…ゴロゴロゴロ…
「──っ!」
怖い!!助けて!!
雷が怖い…自分が…おかしくなりそうなの。
血が…ざわめく。
“何か”を思い出しそう。
でも、思い出してはいけない。
早く…早く帰らないと…
──ピカッ!!
「きゃぁ!!」
この閃光と共に私は意識を手放した。
手放す直接、誰かの腕の中へと倒れた気がする…。
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