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「あー…暇。」 テレビではもう昼のワイドショーが始まる時間。 朝、熱が出てたので過保護な姉に無理矢理休まされたが、薬を飲んで少し寝た今では熱が平熱まで下がった。 と、なると暇で仕方なくて。 学校に行ってたら耀に会いに行って、いつもみたいに「うざい」と言われるんだろうなーなんて妄想しては学校へ行きたくて仕方なかった。 「耀、何してんのかなー」 耀と俺の共通の友達である、羽柴と安曇にはもうメールを送った。 俺が風邪で休むこと、耀が変なやつに寄りつかれないように見ていてほしいこと。 羽柴は俺と同じクラスだから難しいかもしれないけど、まあ恐れられてる安曇が傍にいれば安心。 って、いつも一緒にいるんだけど念のため言っておかないと怖くて。 耀にはメールを送らなかった。 絶対うざがると思うし。 「はーあ。耀、お見舞いに来てくれたりしないかなー」 いつの間にか寝てた俺は、玄関から鳴るチャイムで目が覚めた。 体もだるくないし、すっかりいつもの調子だ。 「はいはーい、どちらさま?」 「俺」 目の前にいたのはコンビニの袋を提げた、やや不機嫌そうな顔の耀。 「…え?あれ?」 「何だよ」 「耀…?」 「以外に何に見えてんだ」 本物? 俺が未だにポカンとした顔でいれば、玄関の脇に隠れていた二人も肩を小刻みに揺らして出てきた。 「なぁ、葉山すげえアホ面なんだけど」 「だから言っただろ?  耀が一人で来た風にしてみろって」 「羽柴…安曇…」 結局、風邪を引いた俺のために耀にお見舞いに行かせようとしたらしい。 で、耀は面倒くさがったけれど二人が無理やりにでも連れて来てくれた、と。 「なんだよ、ここまで来たのに元気そうじゃん。  俺もう帰っていい?」 「ちょちょちょっと待って!  3人とも入ってよ!!!」 俺のあまりに必死な様子に、空気を呼んでくれた羽柴と安曇は耀の背を押し玄関へと歩を進めてくれた。 安曇には勝てない耀は不満そうだけれど、しっかりと中に入ってくれて、俺はその袋の中に見えた熱さましのシートやらミネラルウォーターやらに、たとえあの二人の命令だろうが、宝物にしようと誓った。
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