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紺野耀、ただいま不機嫌です。 「耀、腹減った」 「野晴に作るなら俺にも!」 そう、俺の家でたまには皆で遊ぶかってことになり、一人暮らしをしている俺の部屋はこいつらの絶好の溜まり場。 一応客人なわけで、俺がもてなさなきゃいけないのだけれど、調子乗りすぎだろ。 「羽柴!安曇!  耀のことコキ使うなよー  俺ですらしないのに…」 「おい待て。  ですら、って何だ。」 「泉も耀に甘えればいいのに  ねえ、野晴?」 話題を振られた野晴は俺と葉山を交互に見比べ、鼻で笑いやがった。 「野晴、お前もう餓死しろ」 「すいませんでした。」 現金なやつめ。 普段は野晴に勝てない俺だけど、食い物になれば話は別。 そのでかい図体を維持するには相当な量を食わなきゃいけないんだろうな。 「ったく、じゃあ野晴と葉山でテーブル片して。  悪いけど陽介は俺を手伝って」 「やった調理班!」 「つまみ食いなんてさせねぇから」 何で解ったの?とでも言いたげな顔でこちらを見つめる陽介。 バレバレだっつーの。 陽介も俺よりはでかいし、成長期ってやつなのだろう、とてもよく食う。 そんな陽介とキッチンへ向かおうとすればうるさいのが一人吠えだした。 「あーっ!俺も調理がいい!」 「あ?」 「調理班がいいです!!」 陽介は葉山に視線をやり、なんだか黒い笑みを浮かべている。 でも俺は葉山と二人なんて嫌だ。 何があるか解ったもんじゃない。 「じゃあ俺と野晴でテーブル片すから二人で調理よろしく」 「ちがーうっ!違う!  俺は!耀と!やりたいの!」 一つ一つの語をはっきりと発音すれば、半ば強制的に陽介の手を取り野晴へと押しつけてしまった。 「…おい。」 陽介に悪いことしたな、とそちらに目をやればそこはさすがの兄貴体質の野晴が陽介の機嫌を損ねなずにうまいことやっていた。 こういうとき本当に野晴は役に立つ。 「お前さ、その強引なとこ直せよ?」 「え?俺普段はすっごい従順だよ?」 どの口がほざくんだよ。 呆れて葉山を置いてキッチンへと料理の支度を始めれば慌ててついてきた葉山が、耳元で囁いた言葉に俺はテーブルまで戻り陽介を連れていくハメになるのだった。 『耀のことになると強引になっちゃうんだよ。』
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