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購買で自分の分のパンを買って教室に戻る。 今日は天気がいいな、なんて思いながら。 「耀ーっ!遅い!  俺、先に屋上行くところだったんだけど!」 「先どころか一人で行ってくださいまじで。」 「耀ってば冷たいなーっ」 俺の席にまるで当たり前のように座っている葉山を鋭い視線で射す。 「事実だよ。  つか何でお前がここにいんの。  お前何組。」 「D組!」 「うん、知ってる。  で、ここ何組?」 「A組!」 「一番離れて関わりの無い教室の俺の席に何で当たり前のようにお前が座ってるのか、説明してくれない?」 「そんなのお昼を耀と食べようとしたに決まってんじゃん」 「ああ、そういうことね」 言えば葉山は嬉しそうな顔をして口元を緩ませた。 俺の周りからは女生徒が頬を紅くしているのが目に入る。 むかつくことに、こいつはまるで王子様か?って容姿をしている。 さらさらの金に染めた髪に爽やかで人当たりの良さそうな顔に長い手足。 「…お前、顔だけはいいのになー」 勿体ない、とつけくわえて思いっきり憐れんだ視線を送ってやる。 急に話が飛んだことに葉山は驚いたのかポカンとしている。 「?なんだよ」 「いいいい今、今、何て?!」 「は?お前、顔だけいいな」 言えば葉山は勢いよく俺の席から立ち上がり両肩を掴んできた。 その拍子で抱えていたパンが落ちる。 この野郎。 「っ痛」 「決めた!今日は絶対一緒に食う!絶対!」 「はぁ!?そんな約束してな」 俺が落としたパンと、それから俺の腕から3個ほどパンを奪った葉山は俺の手を強引に引き屋上へと歩みを進める。 ああ、そういえば今日はいい天気なんだよな、と思いながら繋がれた手に視線を落とし呆れたように笑ってやった。
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