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「あーかーるーっ」
「…。」
「耀?あかるーっ」
「……。」
「耀っ!!!!」
「っ、うるせぇな!なんだよ!」
「耀がずっとシカトするからだろーっ!」
「はいはいすいませんでした。
ご用件は何ですか?」
「べつにーっ
耀と一緒にいたいだけー」
「…うざ。」
「本音なのに!」
「…俺もう帰るから。」
「うん、一緒に帰ろう!」
「嫌です」
「何でだよっいいじゃん!」
思いっきり嫌そうな耀。
うるさいのが嫌いって言ってたから俺が騒いでるのも嫌なんだろうな。
こうなりゃ無理矢理にでも一緒に帰ってやる。
耀の腕を掴んで昇降口まで向かおうとしたその時
「あ、あの葉山君…
いま少しいいかな?」
頬を薄い紅に染めた女の子。
あー…これってもしかしなくてもアレだよね。
雰囲気に気付いたのか、耀は俺とその女の子をチラチラ見ては、解放される、とでも言いたげに俺の腕を自分から離した。
「葉山、行ってやれよ。
俺もう帰るから。」
「えっあっ…」
鞄を肩に下げ昇降口へ向かってしまった。
ああ、一緒に帰れると思ったのに。
女の子の用事はやっぱり告白ってやつで、俺はそれを丁重に断った。
周りの奴らは俺がモテて羨ましいとか言うけど、好きな子に告白されなきゃ意味が無いんだよね。
好きな子…か。
俺はどうやら「うざい」らしく、両思いなんて夢のまた夢。
あ、なんか悲しくなってきた。
上履きを脱ぎ、靴に履き替えて扉を開けたら壁に寄りかかる耀がいた。
「遅い。」
え?何で?幻覚?
俺がよっぽどまぬけな顔をしていたのか耀はそんな俺を見て不機嫌そうに眉をひそめた。
「一緒に帰るんだろ?」
ああ、「うざい」俺でもまだ望みはあるのかな。
嬉しくて嬉しくて自分より小さいその体を抱きしめたら思いっきり蹴られた。
「調子のんな。しね」
言葉が本当に悪いけど、耀に言われるぶんには悪い気はしない。
俺を放っておけない優しい耀が好きだよ。
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