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その後は寺を見回り、賽銭を投げ込むとともに新年の願い事をする。
楽しい時間は、あっという間にすぎていった。
「ねー、銀ちゃーん。」
「あー?」
陽が沈みかけた夕時の街を自宅にむけてあるいていたとき、純が声をかけた。
彼の白髪が美しく陽をあびて橙色に染まっている。
「銀ちゃんは何てお祈りしたの?。」
先ほどの初詣のことを言っているのだと理解した銀時は、気にするなとでも言いたげだ。
「教えてよー。何、私には言えないよーなえろい内容なの?」
「んなわけねーだろが。」
さすがに返答をし、銀時は頭をかく。
「そんな聞きてぇの?」
「うん♪」
「じゃあお前は何てお願いしたわけ?」
彼に質問を返され思わず言葉につまる。
そんな純の様子に銀時はつけこむ隙を発見した。
「はーん。純、お前こそ人に言えねぇことお祈りしたんだろ。」
「ちっ、違うよ!!」
無駄に慌てた言動をし、仄かに赤らんだ顔を一瞬向ければそれを弄られないようにそそくさと自宅への道を急ぐ純。
銀時は一瞬の顔に加虐心を煽られ、純の手をひっぱるとすぐそばの路地に引き込んだ。
「!?。」
驚く当人をよそに彼女を壁に押し付け、顔の両サイドの壁に手をついて退路を防ぐ。
純がそっと見た銀時の顔は、ぞっとするほど艶やかだった。
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