【ティキ】★きっど☆★様

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季節は冬。 街が色恋に輝きはじめるころ、浮かない気持ちの少女が1人。 賑やかな人混みを歩いていた。 雪により白く染まった道は、足を進めるたびにさくさくと音をたてる。 少女の瞳は、見るからに落胆の色を見せていた。 彼女の名は純。 東洋出身の、現ノアである。 数年前にノアとして覚醒し、それ以来第一使徒千年伯爵のもと、『家族』と暮らしている。 そんな彼女が街中に、しかも1人でいるのには訳があった。 「ティキ…。」 そっと、無意識に愛しい彼の名を呟く。 ティキ・ミック。 純と血をわける家族であり、誰よりも愛しい恋人だ。 もう数週間、会っていない。 明日は聖なる日。 今日は、もっとも好意を抱く彼と過ごしたい特別な夜。 だというのに、連絡すらとれない日々が続いている。 彼は快楽のノアだ。 能力や他のノアと比べたときに、千年公の期待が彼にむくことは良くある。 同時に、就く任務の数も多い。 仕方がないことなのだが、純としては複雑だった。 彼の前では決して言わないが、寂しく感じていないはずがないのだから。 今回街に来たのは、一応今日の買い出しのためだ。 彼が帰ってきたときに、迎えてあげられるように。
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