4人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
満月の、夜桜が美しい夜だったと思う。
桜がまいちるなかで、一人長いブロンドを遊ばせていた少女がいた。
少女はなんとも言えない悲しげな瞳を一際大きな桜の大木にむけ、ただ一人たたずんでいる。
何を考えて、何を思っているのかは本人にしかわからないが、せつなげな表情からよほどのことなのだろうと推測することができた。
そんな少女の視界に、ふっと掠める影がある。
少女がそちらに意識をむけると、桜しか見えないがそこには明らかに人の気配があった。
「誰?。」
鈴のような声を発し、姿すら見えない人に問いかける。
自分に害をなす存在ならば、手をくだす覚悟をして。
しかし、しばらく間をあけてから現れた人影はまったく少女の予想とは違った。
姿を見せたのは、まだ年若い少年だ。
物珍しい白髪に、小柄な体つき。
可愛らしい顔の左目には赤い星の傷が刻まれ、纏う服は銀色の装飾が施された黒服。
黒の教団所属のエクソシスト。
思わず身構える少女をよそに、彼は優しく笑みを浮かべる。
「貴女こそ、誰ですか?。」
それが、アレン・ウォーカーとの出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!