11人が本棚に入れています
本棚に追加
今年も、もう桜の花が散り始める季節、そしてやっぱり今年もこの桜の木は周りの木々より一足遅く咲き誇る。
散りゆく桜達の中ただ一人咲くこの桜に魅せられたのは君と僕のたった二人だけ。
君と出会ったのも、君と想いが通じ合ったのも、喧嘩の仲直りも初めてのキスも、そして君と供に見た最期の景色も全てこの桜。二人だけの桜。
君が居なくなってからもう三度も桜が咲いた。でも君が居なくなってから一度もこの桜に魅せられることはなかった。
ただ想うのは君の笑顔、満開の桜の様に優しく綺麗な君の笑顔。
最期に君が言った『ありがとう。』にうろたえて上手く笑えなかった僕のことを笑った君の微笑はまるで散りゆく桜のように儚く美しかった。
最期の最期まで僕を魅了して君は旅立った。僕の心とこの桜の彩りを僕から奪ってね。
来年もまたここに来よう。来年も再来年もずっとずっと、いつか君に逢えるその日までこの遅咲きの桜の下へ・・・・・
最初のコメントを投稿しよう!