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(義之視点)
俺が起床する時には、既に音姉と駿人は登校していて、残されたのは俺と由夢だけだった。
オマケに時刻は8:30。
遅刻寸前だしっ!!
「にぃ~さ~ん~。お腹空いたぁ~」
由夢は居間のテーブルに倒れ込んでいる。
「朝飯作れったって……こんなのでどうしろってんだよ」
一回、冷蔵庫を見たけど時間の掛かるものばっかで作る余裕がない。
すると、由夢はテーブルに倒れながら文句をたれてきた。
「あぁ~~兄さんは可愛い妹が途中で倒れてもいいんだ~! そぉなんだあ~~!!」
ハァ……仕方ないなぁ……。
俺は右手をグッと握って、頭にどら焼きを思い浮かべた。
そして右手に柔らかい感触をするモノが出てくる。
そう───右手にはどら焼きが出て来ていたのだ。
俺には、和菓子を作り出す力がある。
その代わり俺のカロリーが消費しちまうんだけど……。
由夢が駄々をこねるので仕方がない。
俺は、そのどら焼きを皿に置いて、お茶一杯と一緒に由夢の前に置いた。
由夢はそれを見て、
「朝から……和菓子……」
不満たっぷりな顔で文句を言ってきた。
俺はちょっぴりムカついたので、皿を取り上げようとした。
「嫌なら俺が食べるぞ」
「あ~! 食べます食べます!!」
すると由夢は、皿を取り返してどら焼きを口に頬張った。
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