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(駿人視点)
「うっし!! 今日も調子万全だなっ!」
演奏を終えて、渉が両手を上にあげた。
俺たち一同も、顔を見合わせて笑みを浮かべた。
するとななかが振り返り、
「じゃぁ、朝練は終わりっ♪ 楽器片付けよう!」
右の人差し指を上に突き立てながら、ニッコリと微笑んだ。
俺も当然それに同意して、ギターを片付けようとした所で───
ヴーンッ ヴーンッ
ポケットのケータイが震え出した。
「ん? …………あ、さくらさん?」
ディスプレイに表示された名前を見て、首を傾げた。
さくらさんから電話なんて珍しい。
何の用だろうか?
そう思いながら通話ボタンを押した。
『あ、駿人君? 僕のちゃぶ台から、資料持ってきてくれる?』
聞こえてきたのはやっぱりさくらさんで、
何だか少しだけ慌てた声でそんな事を言ってきた。
けど……残念ながら俺は既に学校にいるので、さくらさんの要望には応えられない……。
「すいませんけど、俺は学校なんで……。義之なら、まだ家にいると思いますよ」
『そっか~。うん、そうするよ! またねぇ♪』
さくらさんは最後にそう言って、電話を切った。
ちょっぴり唐突すぎて思わず首を傾げたけど………。
ま、義之なら大丈夫か。
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