文化祭──それぞれの想い

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教室の扉の前に到着した。 俺は、あえて教室には入らずに、 「俺、義之の教室行くわぁ」 と言って隣の教室へ向かおうとした所で、ななかが声を掛けてきた。 「あ! 駿人君っ」 それを聞いて俺は足を止めて、振り返る。 「どーした? ななか」 「あ、うん。えっとね? 文化祭、一緒に回ろうよっ!」 ななかが満面の笑みで、提案してきた。 そこで、一つの疑問が浮かんできた。 「一緒に、回るヤツいないのか? 俺くらいしかいない程、候補いないのかよ?」 ななかなら、仲の良い女子……例えば、親友である小恋とか一緒に行く候補くらい沢山いそうなんだが……。 すると、ななかは顔を紅くして答えた。 「『駿人君くらいしか』じゃ、無いよ。 『駿人君が良いの』っ!!」 少し潤んだ瞳で、言ってくれた。 俺は、その言葉を聞いて、スゴク嬉しくてなって─── 「ありがとう、ななか。……俺も、ななかと一緒が良いっ!」 思わず両手で、ななかの右手を包み込んで答えた。 「あっ……駿人…君?」 「あ゛っ!! ゴッ、ゴメン!」 ななかが俺の名前を呼んで、やっと俺が大胆な行動をしていた事に気付いて、慌てて手を離した。 「じゃ……じゃあ、義之んトコ行くわ!」 俺は、ななかの顔が見れずに、足早にその場から去った。
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