701人が本棚に入れています
本棚に追加
教室の扉の前に到着した。
俺は、あえて教室には入らずに、
「俺、義之の教室行くわぁ」
と言って隣の教室へ向かおうとした所で、ななかが声を掛けてきた。
「あ! 駿人君っ」
それを聞いて俺は足を止めて、振り返る。
「どーした? ななか」
「あ、うん。えっとね?
文化祭、一緒に回ろうよっ!」
ななかが満面の笑みで、提案してきた。
そこで、一つの疑問が浮かんできた。
「一緒に、回るヤツいないのか? 俺くらいしかいない程、候補いないのかよ?」
ななかなら、仲の良い女子……例えば、親友である小恋とか一緒に行く候補くらい沢山いそうなんだが……。
すると、ななかは顔を紅くして答えた。
「『駿人君くらいしか』じゃ、無いよ。
『駿人君が良いの』っ!!」
少し潤んだ瞳で、言ってくれた。
俺は、その言葉を聞いて、スゴク嬉しくてなって───
「ありがとう、ななか。……俺も、ななかと一緒が良いっ!」
思わず両手で、ななかの右手を包み込んで答えた。
「あっ……駿人…君?」
「あ゛っ!! ゴッ、ゴメン!」
ななかが俺の名前を呼んで、やっと俺が大胆な行動をしていた事に気付いて、慌てて手を離した。
「じゃ……じゃあ、義之んトコ行くわ!」
俺は、ななかの顔が見れずに、足早にその場から去った。
最初のコメントを投稿しよう!