701人が本棚に入れています
本棚に追加
/428ページ
みんなで昼食でとる事にした俺たちは、他の人が来なさそうな場所───以前、2人きりで昼食をとった音楽室へとやってきた。
「はい、駿人君」
俺が音楽室の椅子に腰掛けると、ななかがそう言って弁当箱を渡してくれた。
どうやら、俺の分まで作ってきてくれたらしい。
「お、ありがとな」
「エヘヘ♪」
素直に感謝の意を伝えると、ななかは幸せそうな笑みを浮かべてくれた。
「むうぅ……」
その様子を見ていた由夢は、何故か頬を膨らまして拗ねていた。
「……食べるか」
「そだね、んじゃぁいただきまーす!」
相変わらず由夢が不機嫌になる理由は不明だが、さっさとその空気を払いたくて俺が促しの言葉を呟くと、それに同意してくれた榊原が食事開始の合図を言ってくれた。
「「「「いただきます」」」」
それに続き、俺たちも同じ言葉を言い、昼食を食べ始めることにした。
ご飯を食べながら、俺は少し疑問に思っていた。
どう返答されるか、ある程度判っていたとしても俺は聞かずにはいられなかった。
「なぁ、榊原」
「はぁい?」
俺に呼び掛けられ、榊原は菓子パンを頬張りながら返事をしてきた。
構わず、俺は榊原に質問した。
「お前は……天枷の噂、気にしないのか」
最初のコメントを投稿しよう!