巻き起こる2つの疑心

51/56
701人が本棚に入れています
本棚に追加
/428ページ
みんなで昼食でとる事にした俺たちは、他の人が来なさそうな場所───以前、2人きりで昼食をとった音楽室へとやってきた。 「はい、駿人君」 俺が音楽室の椅子に腰掛けると、ななかがそう言って弁当箱を渡してくれた。 どうやら、俺の分まで作ってきてくれたらしい。 「お、ありがとな」 「エヘヘ♪」 素直に感謝の意を伝えると、ななかは幸せそうな笑みを浮かべてくれた。 「むうぅ……」 その様子を見ていた由夢は、何故か頬を膨らまして拗ねていた。 「……食べるか」 「そだね、んじゃぁいただきまーす!」 相変わらず由夢が不機嫌になる理由は不明だが、さっさとその空気を払いたくて俺が促しの言葉を呟くと、それに同意してくれた榊原が食事開始の合図を言ってくれた。 「「「「いただきます」」」」 それに続き、俺たちも同じ言葉を言い、昼食を食べ始めることにした。 ご飯を食べながら、俺は少し疑問に思っていた。 どう返答されるか、ある程度判っていたとしても俺は聞かずにはいられなかった。 「なぁ、榊原」 「はぁい?」 俺に呼び掛けられ、榊原は菓子パンを頬張りながら返事をしてきた。 構わず、俺は榊原に質問した。 「お前は……天枷の噂、気にしないのか」
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!