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突っ込んではいけない。
今この状況において突っ込むということは、腹を空かせた兎にドッグフードを投げるくらいに危険だ。
----多分、危険?
いや何だ、その……とにかく!もしここで突っ込んだら、俺の生活必需時間が三十分奪われる!
「ねえ紀之~早く起きないと、ベッドの下のエロ本ばらまくよ?」
お前から全部燃やされたから一冊も無えよ! 悪しき思い出が蘇る!
……と、突っ込んではいけない。
俺は聞こえないフリをして、声の聞こえた方向と逆方向に寝返りを打つ。
「紀之~早く起きないと、口の中にバタフライナイフ等を投げ入れるよ?」
投げ入れるの!? しかも等ってどういうこと!? 刀とかのことなのかっ!?
……と、突っ込みたくても、突っ込んではいけない。
俺は聞こえないフリを継続、シーツを頭まで被ってみた。
「ねえ紀之~早く起きてよ~ぐすん、私に和服プレイをさせて辱めているくせに……」
俺は何もやってない! あと和服プレイとか言うな! そして誰もお前を見れない!
……と、突っ込んではいけない。喉元まで出て来ても、突っ込んではいけない。
俺は三十分戦い抜くことを決意、両耳を手でギュッと押さえたが……
「ねえ紀之早く起きてよ早く起きないとぉ、p――――――するよ?」
「シャーーラーーーーッップ!! 自主規制音は規制された分、妄想をより膨らませてしまうんだよ!」
俺、岸沢紀之は目覚まし時計係の、数々のボケに耐え切れず。
ついに、起きてしまいました。
ちなみに、ビークワイエットは静かにしてね~で、シャラップは黙れコラといった感じの意味らしい。
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