(起)

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 あの事件から全てが始まった。  人が信じないモノを退治し、そして、自分にできる事を知った。 「できるだけ沢山の人を救いたい」  それが僕の――『正義』だ。  ヒーローは小学生2~Defend the life~ 「ナーズグル アパプリカ ディモル、 べーベル ランティカ ダンザテ」 「シュテーム オグリスカ ファヌン、アスミタス イヌンスカ クロアスタ ファルコ!!」  目の前で狼狽する腐敗した男。もちろん実体は無い。  呪文を唱えると、霊の周りに光の魔方陣が現れ、絶叫する男を取り囲んだ。  魔方陣より吹き荒れる風を手で塞ぎながら、僕は、心の中でガッツポーズを決めた。  光の魔方陣は、霊に貼り付くと強烈な閃光を発して、爆発を起こした。  ………………  途端に、僕の後頭部に重い衝撃が走った。  ゆっくりと目を開けると、視界の下半分に見慣れた天井が見えた。もちろん上半分はフローリングの床だ。  直ぐに状況が把握できた。 「なんだ夢かよぉ……」  僕は、ゆっくりと起き上がると痛む後頭部を擦りながら、折りたたみ式の携帯電話を開いた。 「ちぇっ。報告メールなし。今日も平和か……」  人を救いたいとか言いながら、平和が嫌いな訳じゃない。人を救う為の事件が無いと言う事だ。
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