(起)

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 都立星野小学校の『5年2組』の引戸を開けた。  お調子者だけどちょっと怖がりの優也(ゆうや)。  インテリメガネと、いつも持ち歩いてるノート型パソコンが、知性の高さを伺わせている将太(しょうた)。  新聞部で、特ダネスクープには目が無い女の子の島崎。  みんな一ヶ月前の事件の際、共に戦った仲間だ。 「おはよー、アキラ」  僕を見るなり優也が手を上げた。 「おはよー」  優也とは隣の座席でもある。 「なぁ、アキラぁ。なんか事件は無いのかぁ?」 「ないよ」  優也も同じ事を考えていた。  なぜ、そんなに事件にこだわるのかって?  口裂け女の一件の後、僕と、優也と将太で『超常現象探偵クラブ』を作ったんだ。島崎は、新聞部と掛け持ちだけどね。  ――『幽霊・妖怪など、超常現象にお悩みの方。私達が原因の解明と排除を行います。お気軽にお電話下さい』とチラシを作成し、大量にばら撒いたは良いけど、一件も「まとも」な事件の相談はなかった。  将太は、「僕達の出来る事にも限界がある。これは誇大広告だ」って言ってたけど……。僕達の手に負えない時には、寺村さんに相談するつもりだ。
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