(起)

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「じゃあ、何時にする?」  優也は、ソファーベンチに片膝を付いた。 「その『吉村 莉子(よしむら りこ)』さんは、大体何時くらいに霊を見たんだ?」  将太は、優也から島崎へと視線を移した。  島崎は、デニムスカートのポケットから、手の平サイズの手帳を取り出すと、ペラペラとページをめくり始めた。  中ほどで指が止まる。 「えっとぉ、午前1時くらい」 「じゃあ、午前0時30分には、病院前に到着だな」  そう言うと、僕は、紙パックの中に入っているフライドポテトを口に流し込んだ。  一番に到着したのは僕だった。  巨大な病院の、門前で皆を待つことにした。  腕時計のデジタルが、うっすらと光る。  『0:28』  不気味な静寂の中、館内照明が消えた玄関ホールの自動ドア越しに、誘導灯の緑光が自分の存在を知らせていた。
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