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「ないよコツなんて。 私はただ歩いてただけなの。 だから何で、 私だけ転ばないで済んだのか分からないの」 しつこい様だが留美だけが、 すいすいと歩くことが出来たのには勿論理由があった。 「気分はどうだい?」 席に戻ると雅人が留美に聞いた。 「落ち着いたわ。ありがとう」 留美がそう答えると、 「さっきはごめんな。 坂巻の気持ちを考えないであんなこと言っちゃって」 「良いのよ。気にしてないわ」 謝る雅人に留美が言う。
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