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いやそうではなかった。 拓海は最初は落ち着いた様子だったが、 自動ドアが開くといきなりそわそわし始めた。 「山下、トイレか?」 冗談ぽく雅人が聞く。 「ちげーよ、何だか急に寒くなって来たんだよ」 拓海のその言葉に、 雅人は誰もいないのに開いた自動ドアと拓海が感じた寒さとを関連付けて、 黒い人影が自分達の後を追って来た想像をしてしまう。 だが単に拓海の座る席が冷たい風の吹き出す真下だったのかも知れないが。
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