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周りには誰もいないようだし近くの大きな木の木陰で休むか。
ふう……やっぱここは落ち着くな……
人の声や車の音もあまり聞こえないし。
とそんなことを考えていると近くから小さな音が聞こえた。
これは……誰かの声?
誰もいないと思っていたので、少々焦りを感じつつも俺は音の出所に向かう事にした。
しばらくして、音の出所にたどり着いた。そこは静かで暗い、日の当たらない場所だった。
誰かがいるであろうその音の出所を俺は物陰からこっそりと覗いた。
「……グスッ……」
覗いた場所にいたのは――肩下ぐらいまで伸びた軽くウェーブがかった黒い髪に、どこか幼さが残っているような顔つきで背の低い女の子だった。
泣いてる女の子を見て、しばらくその場に立ち止まってしまったが心配になったので声をかける事にした。
「大丈夫か?」
「グスッ……は、はひっ……!?」
誰もいないような場所でのいきなりの声に驚いたのか、目の前にいる女の子は声をあげた。
「あっ、悪い、驚かせたか?」
「い、いえ! 大丈夫です……!」
そう言ってみると女の子は慌てたように小さく首を横に振り、否定の意志を示した。
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