26人が本棚に入れています
本棚に追加
初めて受け取った時には思わず「間違ってますよ」と声がでた。
すると男は「間違ってないよ。これは俺が宅配ちゃんを呼ぶための魔法なんでしょ、でしょ」と言って笑った。
気味が悪かった。
「本当ggw,理由を言って別の人に代わって貰っても良いんだけど、やっぱり安くても毎日って言うのが捨てがたくて……」
彼女は相手の気が済むのなら、それで構わないと放っておいた。
ある時、男は腕を三角巾で吊っていたのだという。
「あれ?どうしたんですか?」
普段は極力、話さないようにしていた綾乃さんも、つい声をかけた。
「事故で折れちゃったんだ」
男は哀しそうにギプスの腕を触ってみせた。
「それで、俺、故郷に帰ることになって…」
「ああ、そうなんですか…」
「うん。もう宅配ちゃんとも会えなくなっちゃうよ」
「はあ」
「残念だね。哀しいよね」
「ええ。まあ」
男は彼女の表情を窺うと奥に実家に送りたい荷物があるんだと呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!