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赤を基調とした装飾に彩られた高級感のある洋室にて。
調度品よりも一層紅い長髪が目を引く眼鏡の青年は、金の装飾がなされた赤いソファに腰掛けていた。
彼は不機嫌そうに、目の前に立っている小柄な少年と彼が掴んでいる‘1.5メートル程の長さの少女’とを交互に見ながら呟いた。
「お前……これ、どうする気だ?てっきりまたガラクタでも拾ってきたのかと思ったら何故普通に人間連れて来てんだよ。完全に誘拐だろが。しかも死にかけ」
「まだ死んでない」
少年は軽く反論してから、
「どうするって助けるに決まってるでしょ?そんで恩を売っていつかは僕のメイドさんにぐぴゃっ」
青年に思いきり殴られた。
「黙れロリコンショタ。しかし、そもそもこいつは一体……?」
ショタ言うなー!と叫ぶ矛盾の塊少年を無視しつつ、改めて少女を見ると、泥水に浸かっていた為に髪はボサボサ、身体も服も汚れてしまっている。
女性ということもあり、この様な状態で放置はしたくなかった。
青年は座ったままで、よろめきながら立ち上がる少年に指示を下す。
「…先ずシャワーだ。湯を沸かしてこい。但しこいつを洗う役、絶対お前にだけは任せないからそのつもりでな」
「差別だー」
汚れを綺麗に洗い流され服も新品に取り替えられた少女は、白一色の部屋で白一色のベッドに寝かされている。
肌の色も髪の色も部屋に溶けてしまいそうな白で、やせ形というには細すぎる手足と痩けた頬から少女の体調の危険さが嫌でも伝わってくる。
「大丈夫かなぁ……」
ベッドの傍に立つ若い女性が、心配そうに少女の顔を覗き込んでいた。
「どうしよっかなぁ、誰かに訊いてみた方がいいのかなぁ、でも頼りにならないって言われるのもなぁ」
女性は思ったことはすぐ口に出すタイプのようで、しきりに首を傾げながら独り言を呟いていた。
切り揃えたボブの茶髪が頭の動きに合わせてふわふわと揺れる。
と、女性が何気なく少女に背を向けた時、
少女は目を醒ました。
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