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ギルドが各地に設置した、狩りの拠点となるベースキャンプへ荷と腰を降ろし、リリィは水筒に口をつけた。
ふと、キャンプから見える谷間の河に目がゆく。糸のように細く見えるが、実際は人より何倍も大きな飛竜が溺れる程の激流と河幅で、落ちたら最後、飽きるほど呑める水は命と引き換えだ。
水筒から口を離したリリィは、一呼吸置き立ち上がった。
彼女の狩りの対象は、【舞雷竜】ベルキュロス。
峡谷へは道中、近辺を通商ルートとする商隊と進んできたのだが、今ベースキャンプにいるのは彼女一人だけ。理由はそこにある。
つい数十年前まで、峡谷一帯は狩場としてはおろか、その存在すら知らないハンターが多かった。
せいぜいが近隣集落との交易に商人が利用する程度だったのだが、彼等が偶然発見した鉱石とその鉱脈により、一気に注目を集めるようになったのだ。
しかし、それによって増えるのは良いことばかりではない。モンスター達による被害もまた然り。
草木も獲物も少ない峡谷の限定的な環境で生存競争を繰り広げられる為、気性の荒いモンスターが多く棲み付き易い。例えば【金獅子】の異名を持つ凶暴な牙獣種ラージャンや、【棘茶竜】と呼ばれる飛竜種、エスピナスの亜種などが目撃されていた。
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