the prologue

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1998年 11月 30日 リバティシティ ポートランド 某埠頭 時刻は23時48分。 ここでとある取引がされていた… 「…トニーとかいったな?金はちゃんとあるか?俺は騙されないぜ。」 「ああ、もちろんだ。騙したりはしねえ。」 1997年まで表舞台に顔を出しさえしなかったトニー・シプリアーニも今やレオーネファミリーの幹部である。 中肉中背の韓国人だか中国人だか分からない男が取引相手だろう。 「それはいいとして…ブツは?」 「あるとも。格安で仕入れてきた。」 そう言うと男は、アタッシュケースを持ち上げた。 ガチャ 男がアタッシュケースから鉄製の黒光りする"ブツ"を取り出す。 「ほら見ろ。ここだ。分かるか?スライド部分の速度を標準より0.3/s程速くしてみた。できるなら0.5は速くしてみたかったが…それだと銃身がかなり不安定になって…何よりあぶねぇ。もしこれより…おい!お前!何を…」 「撃った方が早い。」 チャ パァン!   パァンパァン!!  パァン! パァン! 暗闇に銃声と薬莢の落ちる音だけが響いた。 「…なるほど。中々いいじゃねえか。」 トニーは二度と声をあげる事のない男を一瞥し、この場を去った。    
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