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少女は隠し通路へと爪先を向け、走り出した。
―ただ、生き残る事だけを思って―。
―どうしよう…。
少女は迷っていた。二つに別れたうちのどちらに行くべきかを。
右の道を行けば隣の山までは誰にも見付からずに逃げ切る事ができる。しかし、今まで一度もその向こうへ行った事はなかったから、その後どうすべきなのかがわからない。
左の道を行けばこの村のどこへでも行けるが、その分見付かる可能性は高くなる。
迷っていられる余裕はない。
それが解っていてもなお少女は決める事ができずにいた。
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