第一幕 願いと祈りと悲しみと

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既に時は満ちていた。 混沌の神・カオスは世界を滅ぼすべく動き始めていた。 光の戦士たちはそれを止めるために走っていたが、消えゆく光に、その歩みは止まりかけていた。いや、止まらざるを得なかった。 手にするクリスタルから伝わる光の流れ。それが弱まっていくのを感じていた。 そんな十人がいたのは、変わり果てた空の下の荒野だった。 苦しげな様子ではないものの、彼らからは確実に光の加護が失われている。 「いつまで、俺たちは保つんだろうな…」 そう、ポツリと呟いたのはフリオニール。 既に何度も彼らは消えかけている。それこそ、これでもう終わりかもしれないと思いながら。 「コスモスが託してくれた力。私たちじゃ活かしきれなかったのかな」 悲しそうなティナの言葉に誰もが俯いてしまう。 否定することなど出来はしない。実際に自分たちは残された時間を活かすことが出来ず、混沌の神を倒せないまま消えようとしているのだから。 「元々、コスモスには厳しかったのだろうな」 ウォーリアの言葉に、何人かが顔を上げた。
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