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「カオスとの戦いに敗れ、あちこちに散った私たちを繋ぎ止めた上に、何かあるごとに我々を導いてくれた。その最中に生み出されたのがクリスタル。これが、彼女に残されていたすべての力だったのだろうと思う」
自らの手にあるクリスタルを見つめ、ウォーリアは静かに語る。
「間違いないだろうな」
肯定の意を示したのはクラウドだった。その隣でスコールも言葉なく頷く。
「コスモスは自分の限界を知り、俺たちに力を託したのは間違いないことだ。このクリスタルに込められた力はコスモスの限界まで高められたものだろう。文字通り、命を懸けた……」
直後、クラウドに繋げるように口を開くスコール。
「世界の命運を、コスモスは俺たちに託した。それが正しかった…とはこの状態からすれば言えないかもしれないが、その時は最善だった。俺たちがコスモスが消えた今も尚存在していられるのもコスモスのおかげだ」
誰もが三人の言葉を復唱している。
脳裏によみがえるのは助けてくれたコスモスの姿。
力を託し、世界の命運を任せてくれたコスモスの姿。
そして、カオスの力に消えたコスモスの姿。
「コスモス、最期に笑ってたよな」
空を仰ぎながらジタンが呟く。
その瞳に映っているのは赤く染まった空ではなく、コスモスの姿。
「とても柔らかくて、まさに母って感じの」
目を閉じるとジタンにはありありとそのコスモスの笑顔が浮かんだ。
それは他の九人も同様で。
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