4126人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
「さとっ…み?」
ハッ!
考え込んでいると、下から光輝の苦しそうな声が聞こえ慌てて視線を落とした。
…え?
目を疑う光景に血の気が引いていく。
光輝の首にきつく絡む手。
その手は紛れもなく私の手だった。
指が食い込み、光輝の顔が歪んでいる。
「あっ…!」
我に返り手を離すと、光輝が顔を背け激しく咳き込んだ。
…体はまだ、繋がったままなのに。
私は…何をしたの?
『一番目になれないならいっそのこと…光輝と繋がったまま一緒に死にたい。』
先程そう思った事が頭をよぎる。
咳き込む光輝から体を離し、私はただ震えた。
…何をやってるのよ。
私は…私は…!!
慌てて服を着て、光輝の背中に頭を下げた。
「ごめんなさいっ…ごめんなさい光輝っ!ごめ……」
後は言葉にならない。
いつから流れていたのか分からない涙を拭い、部屋を飛び出した。
「里海!!」
後ろから光輝の声がする。
だけど振り返れるわけがなかった。
ひたすら走って、だけど走れば走る程に…
自分に絶望した。
最初のコメントを投稿しよう!