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どこかも分からない公園で、呆然とベンチに座る。
どのくらい走ったのか。
コートを着ていない体は信じられないくらい冷たい。
でも冷たくて良い。
…頭を冷やせるから。
そっと自分の手に視線を落とした。
まだカタカタと震えるこの手が、光輝の首を絞めたのだ。
そこには確かな殺意があった。
…首に指の跡が残るかもしれない。
そしたら奥さんにバレてしまうかも。
…私はなにがしたかったの?
愛する人を殺そうとするなんて狂ってる。
それ程までに愛してしまったなんて…。
光輝の一番になれないのは当然だ。
こんな怖い女…誰だって愛せるわけがない。
自分で自分が怖い。
愛してるのに光輝が憎いなんて。
…私は、壊れてる。
震える手を握りしめ、真っ黒な天を仰いだ。
目の端から大粒の雫が絶えず零れ落ちる。
目の前に広がる真っ黒な空は、私の心みたいだ。
真っ黒で…星ひとつすらない。
…私のこの狂った愛にも…希望の光は差し込む事はないのだ。
冷たい空気を吸い込み、そっと目を閉じた。
…このまま死ねたら良い。
真っ黒な私には似合いの、暗黒のこの地で――――。
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