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そう言い、奉先の胸元を軽く小突く元讓。
あまりの痛みに苦虫を噛み潰したような表情で。
「けっ、片目を怪我した奴に言われたかねえよ」
と悪態を付く奉先。
そんな奉先の肩に腕を回し、顔を近付けると元讓は左目を隠す眼帯をずらした。
「お前……」
眼帯の下には傷ついた瞼。
開くと白く濁り潰れた眼球が見えた。
奉先は全てを悟ったのか、それ以上は左目に付いて触れなかった。
「元讓様ー」
「奉先」
自分達を呼ぶ声に反応し、笑い合う二人。
「お互いに話しは後って訳だな」
元讓の言葉に奉先は頷き。
「後で合流しよう、進睦にも会わせてやっからよ」
そう答えた。
「そうか……進睦もこの世界に」
「多分、他の連中も……な」
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