14人が本棚に入れています
本棚に追加
「鶴さん、何が何でも犯人を見つけ出す!その為には杉本くん!」
「は、はい!?」
「君の力も必要だ・・・・」
「は・・・はい、了解しました!犯人逮捕の為、全力を尽くします!」
久米の鬼の様な形相に、杉本の中途半端なエリート意識が吹き飛んだ瞬間だった。
そして茨城県警と警視庁捜査一課の合同捜査が始まった。
まずは殺された日について、長谷川姉妹に聞いた。
その日の夜9時頃、何も言わず出かけたらしい。
そこで一人、容疑者として浮かんだ人物がいた。
シルビアに好意を持っていたと噂される従業員の渡部だ。
年齢も23歳と若い。一応プロを目指すと練習生として3年前このゴルフ場に入ってきたが、結局結果が出ず、そのままフロント業務やレストランの仕事をしていた。
他にもプロを目指す若者が数名いた。彼らはゴルフ場の裏にある宿舎に共同部屋で住んでいた。
渡部の実家は足立区で両親は老舗の呉服屋だった。しかしプロになる事を諦めてもそのまま宿舎に住んでゴルフ場の仕事をしていた。
早速アリバイがあるかどうか・・・久米は直接本人に聞くことにした。
渡部は今風のロンゲに耳にはピアスをしていた跡があった。体格も良く、精かんな顔つきだった。
「渡部さん、昨晩はどこにいましたか?」
「えっと・・・9時ごろまで部屋にいましたけど・・・・その後は・・・・」
「その後は?」
「え、ええ・・・ドライブに出かけました」
「ドライブ?」
渡部の顔色が少し変わった様に思えた。
最初のコメントを投稿しよう!