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「警部・・・あの渡部って若造は許せませんね!」
「ああ・・・・まあでも彼が犯人じゃないとしたら・・・怒るもの無理はない」
「いえ、私はあの態度こそ彼が犯人の可能性大だと思いますね。今のところはっきりとした証拠がないので堂々としてますけど・・・・」
「まあ・・・・確かに彼の車もモーテルの従業員が見たと言ってる黒のスポーツカーだ。しかしこれだけで犯人と決め付ける証拠にはならないが・・・・」
「いえ警部、あのゴルフマーカーが証拠じゃないですか?彼が持っていたに違いないですよ」
「いや鶴さん、シルビアもキャディだ。彼女が持っていたのかもしれん・・・それよりも」
「え?それよりも・・・?」
「それよりも一つ気になった事がある」
「え?警部・・・どんな事ですか?」
「もし渡部の話が本当だとしたら・・・・・彼女達も・・・・本当の事を言わない可能性が高い事だ」
「あ、なるほど・・・・・」
「私はこの殺人は、お金絡みじゃないと思うんだ。まったく犯人は手をつけてないからね」
「とすると・・・まず何らかの恨みですか・・・」
「そうだ。別れ話しのもつれかもしれない。そして彼女達と従業員は・・・・影で何人か付き合っていた可能性があると思う。いかんせん若い男女だ。ダメだと言われれば・・・・尚更」
「そしてそれは・・・それぞれバレない様にお互いが暗黙の了解のもと・・・・」
「ああ・・・・お互いが保険を掛け合ってる様なもんだね。特に彼女達にとってクビなんてのは死活問題だ」
「とすると・・・・彼女達から証言を取るのは非常にやっかいですね」
「ああ・・・・だが、何としても一つ一つ・・・事実を突き止めていかねばならない。私の勘が間違っていなければ・・・・・これは行き摺りの殺人じゃない」
「やはり・・・・犯人は近いところに・・・・ですか?」
「ああ・・・・恐らくな」
久米は自分に言い聞かせる様に呟いた。
そして翌日・・・・・信じられない事件が起こった。
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