過去との決別

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重い腰を上げ、やっとの思いで下へ降りていく。 「おはよう・・・。」 「おはよう」 と母さんが返してくる。 ・・・、妹と父さんはもう出かけたらしい。 「修二は今日は学校行く?行くなら母さんも入学式見に行きたいな。」 母さんはにっこりと微笑みながら聞いてくる。母さんはとても優しい・・・、いや、優しすぎる。 他の親だったら絶対になにかしら理由をつけて学校に行かせようとさせるだろう。 だが、母さんは違う。母さんは俺の重い気持ちを、この笑顔で取り払い、俺が自主的に行くように促してくれるのだ。 僕も母さんみたいな人になりたい。たぶん僕は妹に嫉妬しているのだろう。妹はとても母さんに似ている。 母さんのこの優しさに胡座をかいてはいけない。母さんを心配させたくない。 「うん、いくよ。」 僕はできる限りの笑顔を母さんに向けた・・・。
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