9mmセミオート

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拳銃の中でも有名な銃である。 イタリアのピエトロ・ベレッタ社製の拳銃で、アメリカ軍をはじめ、多くの軍隊で使用されている。 装弾数が15発と豊富で操作性も高く、ベレッタの特徴である上部が大きく切り欠かれたスライドは、軽量で射撃時の反動が比較的少ないうえ、排莢口が大きくなるため排莢不良も起こり難い。 そして幾多の実戦経験と実績に加え、メディアへの露出が高いことから、現在、世界で最も信頼性が高く、知名度が高い拳銃として知られている。 アメリカ軍ではコルト・ガバメントM1911に替わる次期制式拳銃トライアルにおいて、作動不良の少なさと価格の安さが評価され、多くの対抗馬を抑えて制式式採用された。 アメリカ軍以外でも、イタリア軍やフランス陸軍などが採用している。南アフリカ、台湾などのデッドコピーも含めると生産・採用国は数知れない。 アメリカ軍の採用直後、射撃中にスライドが破断し、破損したスライドが後方に飛び出して射手が負傷する事故が数度起きている。 原因には設計上の欠陥や強装弾(通常より火薬量が多い弾丸)の連続使用による酷使などが疑われたが、製造ロットの不具合によるスライドの強度不足だったと判明。このためM92の評価が下落した時期があったが、これは製造工程の見直しと、事故対応したM92FSに更新し直すことで決着している。 近年では登場から30年が経過し、流行であるデザインやコンパクト化、ポリマーフレーム化は構造上、対応が困難であるため、他の拳銃に押され気味である。 そのためベレッタ社は、M92の改良型である90-Twoや、再設計型のPx4などの後継銃を投入し他社に対抗しているが、アメリカ軍制式である以上、M92の王座は、まだまだ揺るぎそうにない。
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