①公式戦

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登り第8コーナー カーブの外にはガードレールがはしりギャラリー達が目の前の走りを楽しみ待っている。 ピリリ… ギャラリーの携帯がなる。 『はい第8コーナー、うん、まだ見えないよ、了解、通過したら報告する』 ピッ この峠のギャラリーは珍しくレース参戦型ともいえるように各コーナー事に連絡を取り合い勝負の行方を見守っている。もしライダーが経過したあとにしばらく時間が経っても次のギャラリーコーナーへ来なかった場合、事故やトラブルなどが考えられる。 その場合迅速な対応へとつながるからだ。 『ねぇ今、何コーナーかなぁ?』 電話を切った男に少女が話しかけた。 『第5コーナーまできてりゃ、HIDの光が見えるからまだ2~3コーナーだろう』 『ふ~ん』 ギャラリーの中、唯一の女の子に男は違和感を感じながらも聞いてみた。 『珍しいね女の子がここに』 少女はちょっと黙って 『気になったの…』 そう言って第8コーナー入り口をみていた。 第3コーナー(左) パァーン、パン、キーッ、ガガッ、ザー コーナー入り口アウトからインへ膝を当てながらツカサが先行して入ってきた。続く(K)はバンクはしてるものの膝をする気配はなく今だ後ろから伺っている 様にみえる。 『まだこないのか、そんなんなら突き放してやるぜ』 ツカサはコーナー立ち上がりにギヤを一つ下げる。 ウォン、ファーン、ァーン 6500rpmから下げたギヤは9000rpm近くまで上がりマシンは急加速する。 第3から第4までの間には長いストレートがある。 ツカサは早くもここで差をつける事にした。 上半身をタンクにべったりとつけカウリングに身を伏せてツカサはアクセルを開けた。 挑戦者と王者のマシンの差は第3コーナーまでの1台分からすでに20メーター程に開いてきた。 ツカサはミラーから離れていく王者を見て更にアクセルを開けた。 800メートル余りのストレートは既に終盤にさしかかっていた。
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