月下の魔女

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その人を見たのは一度きりだった。 こっそりと大切な人の後を付けた、 ギラギラと月が輝く月夜だった。 その年の月光は原因不明の明るさで、 確かニュースでも取り沙汰されるくらいだった。 月夜に透き通る白い肌、 それは生き物としての質感なんて持たずに、 無責任なまでにただただ美しかった。 生きている匂いさえ感じさせない、 あの人。 そう、 あの魔女は、 あの時から私の大切な人の胸に、 解けない魔法をかけた。
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