舞い戻る、紅の血

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「やりすぎだ歳!!」 近藤さんは声を荒げたが後ろの美少年はあたしの行動を見張っているようだ。 (ほん…もの??) ――変なことをしたら斬りますので大人しくしてて下さいね―― あれはほんとのことだったんだ。 じゃあこの人達が言った事は全部ほんと…?? 意を決してあたしは近藤さんを見つめた。 刀は怖いけど、今はそんな事言ってる場合じゃない。 「近藤さん、一つ…いや二つ聞きたい事があります。」 女の命の髪を切られて、いまだに刀を向けられているのに冷静な朱音に土方も沖田も不信感を募らせる。 「私が答えられる事ならなんでも答えよう。」 朱音の真剣な眼差しを感じて近藤も真剣に返す。 「近藤…勇というお名前は本当のお名前ですか?」 「…っ貴様!!」 今にも切りかかってきそうな土方を近藤が手で制す。 「本当の名だ。…君は偽名だったのかな?」 少し悲しそうな顔が見えたので朱音は慌てて否定した。 「いえ!本名です!!あたしは嘘や偽りが嫌いなので本当の事しか言いません。」 「なら、おまえはどこからきた?」 土方がすかさず聞いてきた。 「その前にもう一つ、聞いてもいいですか?」 土方が片眉を上げて睨んでくるのをみて朱音は苦笑した。 「この答えがわからないと今の質問の答えが私にもわからないんですよ。」 意味がわからないといった顔を向けられたが構わず質問した。 「今は…何年ですか?」 思ってもみなかった質問で皆拍子抜けした。 「あなた、記憶がないんですか?」 沖田が心配したように問う。 「いえ、記憶はありますよ。 ただ…確認したいのです。 お願いします。本当の事を教えて下さい。」 そういって朱音は土方を見つめた。 「今は1863年、文久…3年だ」
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