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「つまり、おまえは今から約150年先の未来の奴で貧血で倒れ、目が覚めたらこの屯所にいて、文久3年になっていた…と」
さっきよりか空気はだいぶよくなったが座位は変わらない。
まだ信用されるには早い…か。
「はい。さすが土方さん。お話が早いですね」
相変わらずのニコニコ顔の朱音
「って普通信じるかぁー!」
「朱音さんってなんか雰囲気が変わってると思ったら未来の方だったんですね」
「沖田さんはどっかの誰かさんみたいな堅物と違って頭の回転が速くて柔軟性があるんですね」
「それはもしかして俺のことか?」
口をヒクヒクさせながら必死に怒りを抑えているみたいだ。
「もしかしなくても土方さん以外誰がいるんですか?」
「ってめ「あたし、始めに嘘は嫌いだと言いました。いきなりこんな話を信じろとは言いませんが、頭ごなしに疑うのはやめて下さい。疑うのなら、それなりの理由と証拠を…」
目を細めて言う朱音に面白そうに土方は反論した。
「ほう、なら言わせてもらおう。お前は未来から来たと言ったがそれは俺達の事を知っている理由にはならない。むしろ知っているから余計嘘に聞こえる。」
「何故、未来から来た人にあなた達の事を知るはずがないと言いきれるのですか??」
「ふっ、そんなの当たり前だ。過去の人をそんなに詳しく知ってるなんてどっかの有名な武将や大名、もしくはとんでもねぇ悪党ぐらいだ」
そう言った後、自分の言葉に驚いたように目を剥いてこちらを見つめる。
「ま、まさか…」
「やっと気づいた??あなた達は有名です。皆の名前は知らなくとも近藤、土方、沖田の名前を知らない人はほとんどいないわ」
「そ、それは良い意味で?それとも悪い意味で?」
近藤さんが不安そうに聞いてきた。
3人の視線が集まり誰かのゴクッと唾を飲む音が聞こえた。
「それは…まだ教えられません。ニコッ」
ずるっ!!
「なんでですか?」
身を乗り出して聞く。
「まだ、あなた達に信用されてないもの」
辛そうに言う朱音に3人は驚いた。
さっき信じろとは言わないと言っていた時とは違い信じてもらえないことが悲しいという気持ちが痛い程伝わってきた。
「私は…」
信じてますよと言おうとした沖田の声を遮って朱音は言った。
「それに…タダで情報を手に入れようなんて、世の中そう甘くないですよ。」
にんまりと笑う朱音に3人は背筋に悪寒が走った。
「等価交換と行きましょう♪」
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