初めまして、こんにちは

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「家なんて…ここにはありません。」 その言葉にしーんとなる。 俯いていてよく見えないが一瞬だけ、朱音の顔が今にも泣きそうになったように見えた。 が、顔を上げた朱音は先程と同じようにクスクス笑っていた。 「それに、土方さんともあろう方がそんな事もわかんないんですか?」 その言葉に土方は眉を潜め問う。 「どういう意味だぁ?」 「あなた達の情報…あなた達はいらないかもしれないけどあなた達を邪魔だと思う人からすれば喉から手がでるぐらいほしい情報でしょうね。」 つまり、ここに置いてもらえないのなら長州へ行き情報と居住食を等価交換する。という意味だ。 「てめぇ、脅す気か?」 「それに、ココにとっても良い条件なハズなんですよ?」 皆の目を見る。 「あたしは未来から来たの。」 先ほどから何回も聞いている事だ。 何が言いたいのかわからず?を浮かべる。 「つまり、あなた達の過去も、現在(いま)も、」 そこまで言うと土方の眉がピクッと動いたのを見逃さなかった。 「クスッ。そう…未来もね。皆がいつ、どこで、どうやって死ぬかも知ってます。」 その言葉に皆息を飲んだ。 「この組の行く末も、幕府についても、土方さん。あなたの夢が叶うのかどうか、もね。」 それに…と朱音はまだ続ける。 「あたしが知ってるのはそれだけじゃない。」 そこまで言うとニィっと口の端を釣り上げて笑う。 「あなた達に関わるモノなら大体は…そうね、例えば1番厄介な長州。あの人達についても知ってるわ。どんな人がいて、どんな事を企んでいて、それがいつ、どこで、どうやって実行されるのかも、ね。」 その言葉に皆言葉を失った。 「情報は最大の武器よ。これをあたし1人養うだけで得られるんなら安いと思わない?」 「なるほど。悪くはねぇな。」 と、言って土方は笑って見せた。 「それじゃあ…!!」 「いいぜぇ。俺は利用できるもんは全部使ってやる。…等価交換だ。」
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